伯母が大津市石山、石山寺のすぐそばに住んでいたので、そこに行けば、石山寺を訪ねるといった具合で、この多宝塔は、一番身近に感じる塔です。
石山寺という名のとおり「境内は岩山の上(中)にある」といってもよい環境にあります。また、石山寺は、紫式部が源氏物語を執筆したといわれる部屋(『源氏の間』)が当時の状況で残されていることでも有名です。多宝塔はこの部屋から少し離れたところにあります。
国宝の塔を紹介する中で、多宝塔が初めて登場しました。これまで紹介した三重塔や五重塔が、釈迦の遺骨(仏舎利)を奉納する建築物であるのに対し、多宝塔は、天台宗では法華経を各千部安置し、真言宗では大日如来を表すなど目的が異なります。
写真:石山寺多宝塔 01年8月26日に訪れた。
建立年代 1194年(12世紀末・鎌倉時代)
三間多宝塔 屋根 檜皮葺(ひわだぶき)
所在 滋賀県大津市石山寺1?1?1
1963年ごろに訪ねたときの多宝塔
紫式部の『源氏の間』